東北・関東の会場で、業務用食品総合展を開催
服部コーヒーフーズ HCF食彩展2024(東京、仙台、盛岡)
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広松久水産 新商品ブランディング
「当社の展示表現に評価をいただいていた釣りエサの総合メーカーのお客様が『革新的な製品をプロダクトする』ということで、まずは営業とともにお客様の商品コンセプトとニーズをヒアリングに行きました」
お客様との出会いをクリエイティブディレクターの宮は、こう振り返った。
「革新的な製品」とは、手を汚さず釣りを楽しめるという手軽な釣りエサで、それまでの「汚い」「臭いが強い」という釣りエサの概念を覆す製品だった。そこには「コンシューマのニーズを捉えたメッセージ性のあるものを開発・推進したい」というお客様の想いがあった。従来の釣り好きの方だけでなく、若い女性やアウトドアファンの心を捉えリーチする製品づくりが必要であった。
もともとの依頼は展示会ブースのみのデザインであったが、ここで宮は「商品コンシューマブランディングのコンペにも参加させて欲しい」と申し出る。
「商品の概要を伺ううちに、革新的なパッケージや新しい販売チャネルなどのアイデアがどんどん湧き出で、商品ブランディングのフレームワークからプロモーションまでを必ずや具現化できると確信しました」
最初の提案で、商品コンセプトとコンシューマ心理を徹底的に分析したうえで、ブランディングにおける世界観の表現に全てを注ぎ込んだ。ホビーでありスポーツでもある釣りの「準備が面倒」というイメージを覆すため、「いつでも、どこでも、誰とでも。」をコンセプトおよびキャッチコピーとして考案した。一番時間を費やしたのは、コンシューマブランディングで非常に重要な商品ネーミングだ。商品名は「ポケベイト」。ネーミングの由来は、ポケットに入れて運べる利便性を簡潔に伝えられることにある。また、若い女性やアウトドアファンを意識し、従来の釣具イメージを廃して洗練された都会的なパッケージデザインを考案。釣具店だけでなく、アウトドアショップやキャンプ場等の新たな販売チャネルをイメージし、かつ、販売戦略まで踏み込んだのである。
「4P(Product・Price・Place・Promotion)分析を通して、この革新的な商品の未来像を明確に捉えることができていたと思います」と宮は自信を見せた。その言葉どおり、コンセプト、商品名、パッケージデザインもおおむね採用され、取り掛かりから商品のリリースまでスムーズに進んだ。
パシフィコ横浜で開催されたフィッシングショー(現・釣りフェスティバル)でのブースは、常温保存できる商品の特性を活かし、有孔ボードを並べて現代的でスタイリッシュなアウトドアショップをイメージした。加えて、実際に体感してもらえるよう、釣り堀も設置。目立つ位置に池を配置し、導線にも気を配った。その結果、アウトドアショップのバイヤーなど、今まで接点のなかった層の呼び込みに成功した。
「革新的な商品だけに、ブースでの表現は極めてシンプルにしました。そのことが商品自体のイノベーション性を際立たせたのだと思います」
表現方法に対比を持たせることで、かえって製品本来の特性を最大限に引き出し、認知力を高めることになった良い例である。
その後「ポケベイト」はSNSやアウトドアファンの間で話題になっている。
過去の事例や慣習にとらわれない発想の自由さがフジヤの強みであり企業カルチャーである。宮がお客様に対してトータルプランニングする際に特に重視していることは、「理論と感性のバランス」だという。
「この世に出た時点から、多くは陳腐化しはじめます。マーケティングとデザインのセオリーをおさえつつも、既成概念にとらわれない自由で柔軟なプランニングをモットーとしています」
そう話す宮には、さらに目指したいステージがある。
「私はコンシューマの生活に深く根ざすことができる『モノ・コト』を創造したいのです。私たちのアイデアと仕掛けが、お客様とコンシューマの関係性と永続性をより強固にし、人間の生活と未来に豊かさを与えることができるなら本望です。私たちの仕事はBtoBがメインですが、ターゲットとなるコンシューマの動向とニーズは常に意識してアプローチしていきます」
クリエイティブディレクター
宮 大悟 Daigo Miya
入社してから常設、仮設関係なく、ジャンルレスに企画からデザインまでを担当している。
保有資格:一級建築士